イエスがいなくなったエルサレム。
大祭司の願いは届かず、ユダヤ人の反乱が起こった。

とうとうエルサレム神殿の破壊!
ユダヤ人は完全追放!

ローマ各地に離散したユダヤ教徒とイエスの信者。

目指す方向性はちがった。

 

ユダヤ教徒の変化

ユダヤ教徒の拠り所だった神殿と大祭司を失った。
その代わりに指導者となる「ラビ」制度が生まれた。

Richard van LiessumによるPixabayからの画像

 

ラビはミシュナーと呼ばれる口伝律法を編集し、毎年の宗教行事の日程を伝えた。

そのおかげで距離は離れても、固く結束し続けることが出来た。

また選ばれた民という信仰もあり、ユダヤの王国復活と独立国家を強く望んだ。

深く、強いつながりを求めたのだ。

 

キリスト教の伝道

一方、キリスト教は広いつながりを求めた。

弟子は「全ての民に教えを広める」使命を授かり、
ペトロがリーダーとなりキリスト教の伝道が始まった。

 

多神教に慣れたローマの民が一神教を受け入れるのか?

意外にも大人気だった‼️

イエスの死から10年後、信者が1万人に増えたそうな。

苦しい状況にあったローマの民衆は「神の子イエスによる救済、許し」に飛びついたのだ。

Myriam ZillesによるPixabayからの画像 

 

殉教覚悟の伝道は人々を動かした。

共通の歴史や法、生活がなくても、共通の信仰に重きを持つ。
そんな信者が国や民族を超えて広がった。

 

イエスの死から200年後の3世紀、信者が100万人に近かったそう。

またキリストの言行録の福音書が作られていった。
マタイ書、マルコ書、ルカ書、ヨハネ書など。

 

明暗が分かれる!

他民族を受け入れず、人口を大きく減らしたユダヤ教徒。

オープンに信者を増やしたキリスト教徒。

ローマ帝国からすると、もはやユダヤは何でもない存在になった。

キリスト教徒こそ大きな脅威!
弾圧がくりかえされた。

カラヴァッジォによる『聖ペトロの逆さ磔』

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ – The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202 パブリックドメイン

 

風向きを変えたのはコンスタンティノス帝だった。

分割されたローマ帝国を再統一する戦いの中、キリスト教に改宗したのだ。

312年、「神は一人、皇帝も一人!」と叫びながら。

キリスト教の洗礼
Gabriel BalleriniによるPixabayからの画像 

 

戦いに勝利し、コンスタンティノス帝とキリスト教が権力を握る。

380年 キリスト教が国教となる
392年 ローマ帝国 異教を全面禁止する

こうして、大逆転劇が幕を開けるのだ。

 

例えるなら、昔いじめられた子供の子孫が偉くなり、いじめた相手の子孫に復讐していくのだ。

当人同士なら、あっさり仲直りできたかもしれない。
だが、第三者が入るとこじれる場合があるだろう。

その典型のような復讐劇だ。

〜次回に続く

 

<参考>

・ヒストリーチャンネル「イエス・キリストの生涯」
https://jp.history.com/pgm/29220/

・海外テレビドラマ「ザ・ローマ 帝国の興亡」https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA000084RQD

・早稲田エクステンション2014春「ユダヤ人問題」講座より 

・レイモンド・P・シェインドリン著
 「ユダヤ人の歴史」