17世紀、オランダは最強だった。


 * オランダのチューリップ

 

海外貿易が成功し、経済・軍事・文化の中心!

植民地は広がり、人々はヨーロッパ西端の低地にどんどん移ってきた。

 

その最強国にイギリスがケンカをふっかけた。

イギリスファースト!の航海条約を制定したのだ。
貿易利益の奪い合いが始まる。

話し合いで決着せず、海戦となった。

* 英蘭戦争;スヘフェニンゲンの海戦
By Jan Abrahamsz Beerstraaten – en:Image:Beerstraaten, Battle of Scheveningen.jpg, downloaded from [2], パブリック・ドメイン

 

軍事力も強いオランダだが、イギリスも負けてはいない。

大型軍艦とパイレーツ活用で奮戦する!

フランスが絡んできたため、両国は和睦を結んだ。

オランダの執政ウィレム三世と、妻でイギリス王の娘メアリがイギリスを共同統治することにしたのだ。(1688年 名誉革命)

* ウィレム三世
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オランダは「してやったり!」だろう。

だが最後に笑ったのはイギリスだった。

ウィレム三世と同時に
オランダのビジネスモデル
金融業者などのキーマン
成功の要因、宗教・人種の寛容政策が
ごっそりイギリスに移った!

 

イギリスは上昇し、オランダは弱体化した(-_-;

イギリスは仕掛けたのか?

いや、そうではない。
偶然の出来事の積み重ねが、両国の差となった。

 

①信仰の自由

寛容策をオランダから引き継いだ。
ユダヤ人、ユグノー(フランスのプロテスタント)やスコットランド人が大挙して移ってきた。

加えてウィレム三世即位時に「国民と議会の権利と自由」を法律で定めた。
権利章典だ。

* 権利章典
By Parliament of the United Kingdom – The source is the National Archives of the United Kingdom. The image was embedded at http://www.nationalarchives.gov.uk/pathways/citizenship/rise_parliament/making_history_rise.htm . The actual URL was http://www.nationalarchives.gov.uk/pathways/citizenship/images/rise_parliament/bill_rights.jpg ., パブリック・ドメイン

 ・ 議会の同意を経ない法律の適用免除・執行停止の禁止。
 ・ 議会の同意なき課税、平時の常備軍の禁止。
 ・ 議会選挙の自由、議会内の発言の自由、国民の請願権の保障。
 ・ 議会を召集すること。
 ・ 国民の請願権、議会における議員の免責特権、人身の自由に関する諸規定。
 ・ 王位継承者からカトリック教徒を排除すること。

国王が変わっても安全を保障される法律は画期的で、移民は心から安堵できただろう。

ちなみに2019年現在も有効である。

 

②仕事があること

産業革命が起こった。
工場ができ、村から都会に人が移り、動力を使う生産が始まった。

エネルギー源の炭鉱、蒸気で動く船や機関車、物や人を運ぶ鉄道で世界が一変した!

* 外輪蒸気船クラーモント号
By User:Andibrunt – cropped image of Image:Clermont illustration – Robert Fulton – Project Gutenberg eText 15161.jpg, パブリック・ドメイン, 

多くの仕事が生まれ、労働者が誕生した。

 

③お金持ちになれるチャンス

労働者とともに、工場を所有する資本家も誕生した。
お金持ちになるチャンスが拡大したのだ!

 

④安全な島国

イギリスにはオランダにない、地理上のメリットがあった。
島国だ。

* イギリス by Google Map

陸つながりのヨーロッパ各国は、領土をめぐり絶え間ない争いがあった。

イギリスは島国だ。
まだ領海紛争は頻繁ではなかった。

自然の要塞「海」に守られ、防衛の面で有利だったのだ。

 

【成功分析  オランダ ⇨ イギリス】
 ①信仰   : ○  ⇨ ◎
 ②仕事   : ○  ⇨ ◎
 ③お金持ち : ○  ⇨ ◎
 ④地理   : ×  ⇨ ○

 

オランダに勝てなかったが負けもせず、逆にオランダの強みを発展・拡大させたイギリス。

頭脳戦で世界の覇権国になったと言えよう。

世界覇権を狙ったわけじゃない。
狙ってないがオランダの強みを真似し、奪い取ったらNo1になっていた。
誰か確信犯がいたのかもしれない。

 

<参考文献>
・エイミー・チュア著 最強国の条件
・渡部昇一/本村凌二著 国家の盛衰