近世ヨーロッパの市民が望んだこと

 ①信仰を認められる
 ②仕事がある
 ③お金持ちになれる
  詳細はこちらから

 

つまり時代は「どの信者でもお金持ちになれる!」風を求めていた。

 

どこに風が吹いたのか

どこがつかみ

どこがつかみ損ねたのか

見てみよう。

 

2.  覇権国の候補

2.1 スペイン

1492年 コロンブスが新大陸を発見し、最も繁栄したのはスペインだ。

 * クリストファー・コロンブス

 

アメリカ大陸や中南米の豊富な金銀に目をつけ、現地民に掘らせて略奪する。

ヨーロッパに持ち帰り、莫大な利益を得た!

広大な植民地統治と搾取で栄華を誇ったスペイン。

 * 黄金の世紀におけるスペイン帝国(赤はスペイン王国、青はポルトガル王国)の領土、植民地、属領(1580年-1640年)

 

②仕事はあった。
 船乗りや植民地統治者、
 国内でも宝石細工や販売、船製造と求人が増えただろう。

 * 3本マストの帆船

③お金持ちになれるチャンスもあった。
 一攫千金のチャンスだ。

 

課題は①信仰だった。

 新大陸発見と同じ1492年、スペインは非キリスト教徒を一人残らず国外追放すると決定した。

 ターゲットはユダヤ教徒とイスラム教徒だ。

 イスラム教徒はほとんど農民だったが、ユダヤ教徒は文化水準が高かった。

 天文学者、哲学者、医者、仕立屋、商店主、鍛冶屋、銀細工師からなど多様な職を持ち、
 裕福な商人は王室の会計担当や金融業者を勤めるほどだった。

 

 実はスペインが領土拡張し繁栄したのは『ユダヤ人のおかげ』と言っても過言ではない。

 当時、国境を超えた世界規模の商業、貿易、金融のネットワークを持っていたのはローマ教皇とユダヤ教徒だけだった。

 そんなキーマン達が一説によると20万人、スペインを去っていった。

 

 

 * ユダヤ教、ユダヤ民族の象徴「ダビデの星」

 やがて掘りまくった宝石が枯渇し、資金が回らなくなる。
 オウンゴールによる没落>_<

「どの信者でもお金持ちになれる」風は、スペインから逸れた。

 

【スペインの失敗】

 ①信仰   : × (重要なユダヤ教徒を追放した)

 ②仕事   : ○ → ×

 ③お金持ち : ○ → ×

 

<参考文献>
・エイミー・チュア著 最強国の条件
・渡部昇一/本村凌二著 国家の盛衰

次回に続きます