鈴置 高史さんによると、米中の覇権争いに終わりがないそうだ。
<米国は中国をいたぶり続ける> – 覇権争いに「おとしどころ」などない –
【9/10(月) 日経ビジネスオンライン】
米国は中国をいたぶり続けます。「おとしどころ」などありません。台頭する中国を抑えつけるのが目的ですから。これは貿易摩擦ではなく、覇権争いなのです。「終わり」のない戦いです。
貿易を名分に金融戦争を仕掛け、人民元はヘナチョコ通貨だと知らしめる。するとマーケットは「中国危し」と見て、株も落ちる。こうして実体経済も悪化する。その結果、中国は米国に歯むかう軍事力を持てなくなる、というシナリオです。
米国の総意で、中国は「今ここで、抑え込んでおくべき国」なのです。
米国のシナリオは腑に落ちるが、どう決着するかまだわからない。
双方に傷がつくのに、なぜ戦うのだろう。
ずっと大国はジャイアン(ガキ大将)だと思ってきた。
気に入らないから叩くのだと。
どうも違うようだ。
「大国政治の悲劇」によると不安・恐れから起こる切羽詰まった戦いらしい。
●国家の最優先の目標は「自国が生き残る」こと
そのために経済発展やイデオロギーを拡張し、国家統一を図ろうとする
●生き残るためにパワーが必要
なぜなら
・国家の枠組みを超える最高権威がないため、国際システムはアナーキー
・大国はある程度の攻撃的な軍事力を持ち、お互いにとって危険な存在となりうる
・相手の国が何を考えているのか、完全に知ることはできない
など
●大国は互いを侵略的なものと考え攻撃的な行動をとってきた
なるほど!
アメリカは「覇権」既得権を失いたくない。
中国は西洋列強と日本に侵略された「屈辱の100年」を二度と繰り返したくない。
日本だって沖縄を奪われたくない。二度と被爆したくない!
どの国にも不安と恐れがある。
生き残るために戦う。
他国に侵略されないために核兵器を装備する。
そして平和を願う。
愚かな「悲劇」だ。
この「悲劇」を人間は繰り返してきた。
解決する魔法はないのだろうか…
<参考文献>
・ジョン・J・ミアシャイマー著 大国政治の悲劇 完全版
・北野幸伯著 クレムリン・メソッド、中国に勝つ日本の大戦略
・ピーター・ナヴァロ著 米中もし戦わば
・グレアム・アリソン著 米中戦争前夜